ぶらり街かど
 勝浦町

(徳島県勝浦郡勝浦町)

いよいよ全通間近となった神戸ー鳴門ルート。それに併せて徳島の良さをPRしようと、県内各地で町おこし村おこしグループの活動が目立っています。

そんな中、今、勝浦郡がとっても元気です。そのパワーにあやかりたいと、めざした先は勝浦町。国道から勝浦川沿いを南に曲がると、ピンクの幟が目に飛び込んできます。その幟に案内されて到着したのは「ビッグひな祭り」会場。

今年で十年めを迎えるこの「ビッグひな祭り」は、とても有名です。体育館いっぱいにズラーッと整列したひな人形たちの顔、顔、顔、・・・。その光景は、なんだか不思議な迫力です。ユニークな発想でこのイベントを仕掛けたのは町おこしグループ「勝浦井戸端塾」の皆さん。

「町おこしを持続させていくためには、文化性が必要。そして、これからの町おこしは物とか施設だけではなく、その土地に住む人が目玉になってきますよ。」塾長の殿川武男さん(七十歳)は話してくれました。メンバーそれぞれの個性をフルに発揮して、抜群のチームワークで活動している「勝浦井戸端塾」。勝浦町の元気の要になってるようです。

わいわい楽しい時間を過ごしたひな祭り会場を後にして、次に向かったのは「恐竜の里」。清流立川渓谷を見下ろしながら山道を上ると、杉林の間から突然現れた二頭の巨大イグアノドン。

四年前、四国で初めて恐竜の歯の化石が発見されたのを機にすすめられた「恐竜の里」づくり。これも「勝浦井戸端塾」が中心になって取り組んでいます。杉の木と竹を芯にして簡易セメントで固めたという、究極の手作り恐竜たち。少々いびつ(失礼!)だけど、それがまた親しみ深くてなんとなくかわいい。

帰り道、県道沿いに満開の彼岸桜をみつけました。人足お先にお花見です。ここに用意された住所録に名前を書き込んでおくと、桜の持ち主の前田道夫さん(四七歳)が、「桜の開花便り」を届けてくれるそうです。「人と人とのふれあいが私の財産ですから。」と前田さん。なんとも粋な計らいです。

やっぱり勝浦の町は活気であふれていました。人が活きて、動いてます。神戸ー鳴門ルートが全通すると、ますますいろんな情報が交錯します。これからは、新しい情報を取り入れるだけではなく、「柔らか頭」で発想の転換をして、自分たちの町の良さを再発見することが大切になってきそうです。

日々の生活に追われ、固まりかけた私の頭の中を、勝浦町の人たちの元気な笑顔とあったかな早春の風が、柔らかにほぐしてくれた気がします。

1998年3月掲載


思い出して一言

勝浦の取材で一番印象に残っているのは、前松堂のようかんです。とってもあっさりした甘さでほんとにおいしいのです。

後日うちの母が観光で勝浦に出かけたとき、ここの店の前で観光バスを止めてもらってようかんを買ったと言います。恥ずかしいことです。でもそれくらいおいしいんですよ。
(2000.2)


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