街角ウォッチング
 金清自然公園
(徳島県阿波郡市場町)

年も押し迫った12月30日、わが家では大掃除もそこそこに家族みんなで近場の温泉に日帰りで出かけるのが恒例になっています。温もりのある木造の浴室で、あったかなお湯につかりながら思わずにんまり。今年は、ここ金清温泉白鳥荘に決めましょう。

そろそろ冬の気配が感じられるようになった秋の終わり、久々の休日にうきうきとポンコツ愛車を西へ走らせます。紅葉に染まった山間を抜けると目の前に広がる金清自然公園。その中にある金清池では十数羽の白鳥と鴨たちが気持ち良さそうに遊んでいます。白鳥たちが浮かぶ水面をぽーっと眺めながら心地よい時間がゆっくり過ぎていきます。

自然林に囲まれた遊歩道を散歩途中、山の斜面に植樹を終えたばかりの元気な男性たちに出会いました。県の森林土木関係の仕事につく人たちの間で発足した生態系研究グループの皆さんです。「ミミズも住める自然にやさしい土木工事をめざしたい」 と会長の華岡孝彰さんは熱っぽく語ってくれました。

金清自然公園から少し西の赤い金清橋を渡り、坂を南に下ると威勢のいい声が響く錦鯉流通市場があります。ちょうどその日は今年最後のせり市真っ最中、緊迫した空気の中、地元の錦鯉愛好家の人々に大切に育てられた錦鯉が次々とせり落とされていきます。ピチピチはねる健康的な錦鯉の可憐さが目にやきついて、今じゃ私もちょっとした錦鯉ファンです。

切幡山を挟んで金清自然公園の真裏に位置する四国霊場第十番札所切幡寺まで足を延ばしてみました。仁王門を抜けると見えて来る333段の石段をよいしょこらしょと上りつめて本堂の前に立った私は、気がつくと柄にもなくていねいに手を合わせていました。

休日のしめくくりは金清池のほとりの金清温泉に決まりです。楽しみにしていたこともあって夕陽を眺めながらの入浴は最高です。温泉の湯はとてもやわらかでからだの芯までぽっかぽか。湯上がりの一杯のビールが欲しいところをぐっと我慢。年末に、もう一度家族で来ることを約束して、とっぷり暮れた山間をポンコツ愛車で家路につきます。

1995年12月掲載


思い出して一言

金清温泉には取材後も何度か行きました。無料チケットをいただいたということもあったけれど、桧(?)の浴槽がほんとに気持ち良くて家族だけじゃなく、友人にもずいぶん宣伝しました。家族で行った時の風呂上がりの生ビールの味が忘れられません。

錦鯉のせりの取材でいただいた鯉は、ずいぶん頑張って育てたんだけど、残念ながら1年後くらいに死んでしまいました。おじさんごめんなさい。(2000.2)


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